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【映画の感想】『ピンポン』 若かりし窪塚洋介のアイキャンフライ!爽やかな気持ちになれる卓球青春映画

公開日: : アニメ, 映画, 漫画 ,

 

卓球に捧げる青春!

高校生たちの「才能」と「努力」の物語

 

ピンポン Blu-ray スペシャル・エディション

(以外敬称略)

 

2002年に公開された、曽利文彦監督窪塚洋介主演の日本映画。
NHKの朝ドラ「あまちゃん」の脚本で有名な、”クドカン”こと宮藤官九郎が脚本を手がけています。

原作は、「鉄コン筋クリート」などで知られる松本大洋による同名の漫画
勢いある独特のタッチで描かれた人気の青春漫画が、実写化にあたり、コミカル成分多めに作られています。
映画は漫画より少しポップな雰囲気になってますが、面白いです。

2014年6月現在、深夜アニメがフジテレビ『ノイタミナ』枠にて放送中です
アニメはアニメで、漫画に雰囲気が近くてオススメですよ!
アニメ版「ピンポン」は放送が終了次第、記事を書こうと思います。

漫画の連載が1996年から1997年ですから、実写映画とは5年、アニメまで実に15年もの隔たりがありますが、漫画の精神がちゃんと引き継がれてます。原作漫画、実写映画、アニメ、と三拍子で面白い作品なんて、世にどれほどあるのでしょうか?というくらい希少な存在です。原作がしっかりと作られているからか、メディアが変わっても魅力ある作品を作ろうという意気込みが伝わってきます。

本記事では、実写映画を中心に紹介します。

ちなみに筆者、卓球経験者なんです。この映画を見るといつも自分の部活時代を思い出してしまいます。
卓球はここ数十年でルール変更が幾度と行われていますので、マッチポイントやサービス回数などが作品によっても異なっており、自分の部活時代とも違ってたりします。
そんなところを比べてみるのも面白いかもしれません。

もちろん、卓球を知らなくて十分に楽しめますよ。

あらすじ

片瀬江ノ島の高校に通う、幼馴染の星野(ペコ)と月本(スマイル)。二人は卓球部に所属しているが、幼い頃から地元の卓球道場で遊んできたため、実力はずば抜けており、二人の協調性に欠ける性格もあってか、和気藹々とした典型的弱将校の片高卓球部ではやや浮いた存在。

ある日部活を抜け出した二人は、中国人留学生の孔文革(コン・ウェンガ)を偵察しに、辻堂高校を訪ねる。
そこで、コンに一点も取れず完敗するペコ。

一方スマイルは、後日行われたインターハイ予選で、コン相手に一旦は優勢するが、中国から逃れる形で日本に来たコンに同情し、手を抜いて負けてしまう。

インターハイ予選には、強豪高である海王学園高校卓球部の先鋒を任されてるという、ペコとスマイルの幼馴染の佐久間(アクマ)もおり、卓球一家のサラブレッドで同校主将の風間(ドラゴン)は才能に溢れるスマイルを勧誘しようとしていた。

それぞれのインターハイ予選が終わり、お互いの実力差を認識した5人の選手。
翌年のインターハイ予選に向けて彼らの一年間が始まる……

ピンポンの魅力

一言で伝えるとすれば、勝つ方にも負ける方にもしっかりとしたドラマがあること、です。
メインの主人公はペコとスマイルですが、彼ら以外のコン、アクマ、ドラゴンにもドラマがあり、彼ら同士の試合で誰が勝っても誰が負けても、両方に感情移入できるようになっていて、ついついどっちも応援してしまいます。

スポーツ系の作品では大抵、才能溢れる主人公がいて、感じの悪い敵がいて、なんだかんだやっつけてカタルシスを感じさせるような”勧善懲悪もの”が案外多いと感じますが、ピンポンは違います。

負ける方にもしっかりと焦点をあてています
「努力しなければ負ける」、「全力で努力しても才能の差で負けることもある」といった残酷な現実もしっかり描きながら、勝者と敗者の熱いやりとりが繰り広げられます。

実写映画では2時間という制約のため、各人の描写がどうしても少なくなってしまっていますが、簡潔でありながらも伝えるべきところを伝えており、やはり脚本の完成度は高いです。

高校生の青春を真っ直ぐに描いた名作
卓球が好きで、勝つために全力で努力をしているからこそ、たとえ負けたとしても、彼らの言葉にはとても説得力があり、心を揺さぶられます

5人の卓球

ピンポンでは5人の選手にスポットが当てられ、性格も実力も、卓球に対する意識も異なる彼らが試合を繰り返し、互いを意識し合いながら話は進んでいきます。

言うなれば、5人とも主役

それでは、一人ずつ紹介しましょう。

星野 裕(ペコ): 右ペンホルダー前陣速攻型

本作のヒーロー。
卓球の才能に恵まれており、幼い頃から皆にとって憧れのヒーローのような存在だったペコ。
成長するにつれて、かつてのように努力をしないままでは、満足に飛ぶことも出来ないと知る。

飄々としたお調子者だが精神的に幼く、負けたら大声で泣く。
誰よりも卓球が好きで好きで仕方がない、才能の塊。

若かりし頃の窪塚洋介の変人演技が光ります。
アイキャンフラアアアアアアアイ』と叫び桟橋から身を投げ出すシーンで始まる冒頭部は日本映画の中でもかなり有名。
窪塚洋介がマンションの9階から飛び降りた”というニュースを聞いたときは、ペコみたいに本当にアイキャンフライしてしまったんだと、驚きながらもピンポンを思い出したものですが、それでも命に別状はなく芸能活動を続けていたのを見たときは、この人は何者だとさらに驚いたものです。

ピンポン(5) (ビッグコミックス) 窪塚洋介/卍LINETIMEW (INFOREST MOOK)

「この星の一等賞になりたいの卓球で俺は、そんだけ!」

月本 誠(スマイル): 右シェークハンドカット主戦型

ペコの幼馴染で、幼い頃いじめられているところペコに助けられてから、いつもペコの後ろをくっついて歩いていた内気な少年。
全く笑顔を見せて笑わないことから、スマイルと呼ばれている。

ペコのことをピンチの時には必ず助けに来てくれるヒーローだと思っている一方で、そんなペコのカッコ悪い姿(卓球で負ける姿)を見たくないとも思っている。
卓球の才能は本物でコンや風間も認めるほどだが、本人は卓球に打ち込むつもりはなく、試合には勝っても負けてもいいと思っていたが、ペコのためそして自分のために努力しようと心に決める。

俳優はARATA(現芸名:井浦新)。
スマイル役で一躍人気を博し、近年再びドラマや映画で活躍しています。

カットマンってカッコいいですよね。
相手のミスを誘い、チャンスがあれば攻撃する渋い戦型ですが、世界的選手となるとカットマンってあんまり多くないんです。ちょっと昔の選手ですと、松下浩二や渋谷浩なんて世界で活躍したカットマンがいましたが、今の代表選手にカットマンはいないですね。
どうしても試合時間が長くなってしまうため、体力と粘り強さ必要なために、あまりやろうとは思わないのかもしれません。見ているとハラハラさせられて面白いんですけどね。

そういえば、最近の日本代表選手の松平健太を見ていると、なんとなくスマイルを思い出します。
なぜだろう。

ピンポン(1) (ビッグコミックス) 井浦新の美術探検 東京国立博物館の巻

「卓球に人生かけるなんて、気味悪いです」

佐久間 学(アクマ):右ペンホルダー前陣速攻型

ペコとスマイルの幼馴染。
何をやっても上手くできるペコに憧れていて、ペコの真似ばかりしていた。

卓球の才能はないが、誰よりも努力をする努力の天才
嫌味な性格だと思われがちだが、性格は真っ直ぐで思ったことを口に出しているだけであり、人一倍努力もするため皆からは好かれている。

ペコやスマイルと違う海王学園に入学したのは、風間のようになりたかったから。
自分には卓球の才能がないことを知り、自暴自棄になるが、その後すべてを受け入れ人間的に成長する。

筆者はアクマが大好きです。
ピンポンの世界に深みを与えているのは彼の存在でしょう。毎日卓球のことしか考えず誰より一生懸命に努力しても、才能のある人が少し努力してしまえば、自分には勝てない。そんな残酷な現実を突きつけられてなお、才能のある友人を応援する姿に心底しびれます。

努力すれば必ず夢が叶うわけではないことを、きちんと教えてくれる存在です。努力して思うように上手くいく展開や、才能だけで敵を倒していく漫画には、アクマのような存在がきっと足りないのでしょう。虚構の世界とは思えないほど現実味があり、そのぶん才能溢れる他の選手が引き立ちます。

俳優は大倉孝二。いい演技してます。

ピンポン(3) (ビッグコミックス) 演劇ぶっく 2005年 08月号

「飛べねえ鳥もいるってこった」

孔 文革/コン ウェンガ(チャイナ):右中国式ペンホルダードライブ主戦型

卓球大国中国からの留学生選手
中国では上海ジュニアユースの選手だったが、厳しい競争に敗れ、逃げるように日本にやってきた。といっても卓球の実力は十分。
日本で勝って中国に戻ることを夢見ている。

プライドが高くレベルの低い日本のことを馬鹿にしていたが、王者・風間に敗北してから、考えを改め成長する。
自分の才能のなさを薄々自覚しており、そのぶんスマイルの才能を認めている。

実写映画ではコンに関する描写が少なく、ペコとスマイルの噛ませ役兼、試合の説明役のようになってしまっているのが少し残念。アニメではコンの成長を掘り下げるエピソードがかなり増えており、コン好きには堪らないモノになってます。

役者は李璨琛/サム・リー。香港生まれの方で香港映画界の若手スターみたいです。
筆者、香港映画にちょっと疎いので、彼の出演役を覚えている作品はありませんでした。
どうやら日本映画にも度々出演している見たいですので、今度チェックしてみようと思います。

ピンポン(2) (ビッグコミックス)

「もっとも、ありもしない才能を信じ続ける俺よりは、救いがあるか」

風間 竜一(ドラゴン):右シェークハンド(実写映画では左)オールラウンド

海王学園主将の、最強の高校生

非常にストイックで、自分がそして海王学園が強くなるためなら、なんでもする男。
インターハイで優勝した際にも、優勝インタビューで学園の実力低下を憂いスマイルを勧誘するほどである。

ストイックゆえに背負うものが大きすぎるため、試合前にトイレの個室に篭る繊細な一面も

彼のテーマは、何のために卓球をやっているのか
努力を怠らない孤独な王者は何を思って卓球に励むのか、そこを注目しながら見ていただきたいと思います。

俳優は中村獅童。
彼がほんとにハマリ役です。風間のイメージを崩さない顔立ちと演技、完璧ですね。
今となってはドラマや映画に出まくっていますが、「ピンポンが」その出世作となります。

ピンポン(4) (ビッグコミックス) 歌舞伎の童 「中村獅童」という生き方

「才能とは、求める人間にのみ与えられるものではない」

ピンポンを支える脇役たち

選手五人もさることながら、脇役もかなりいい味出してます

ペコを鍛え直す卓球道場タムラの店主 ”オババ” (夏木マリ)
スマイルを徹底的に指導する片瀬高校卓球部顧問 ”小泉 丈” (竹中直人)
片瀬高校卓球部キャプテン “大田” (荒川良々)
九州弁の海王学園副部長 “真田” (末満健一)

筆者のお気に入りは、かつての英雄 ”バタフライジョー” こと小泉先生です。
飄々としているが、芯の熱い彼が語る過去の話は必見です。

「君なら打てたかね?旧友の傷に釘を突き立てるような珠を、選手生命を奪う危険なコースにさ」 というのはそのときのセリフ。
いいですね、何度も思い出したであろう過去を振り返る彼の表情、優しい人柄が伝わってきます。

SUPERCAR/スーパーカーの音楽

本作では「石野卓球」、「ブンブンサテライツ」、「スーパーカー」などの、日本を代表するエレクトロサウンドのアーティストが劇中曲を作成しています。
中でも、主題歌や挿入歌を担当しているのはスーパーカー

スーパーカーとは2005年に解散したロックバンドで、歌モノギターロックの初期から、エレクトロニカをふんだんに使用したダークな曲調の多い後期で音楽性が大きく変化する、2000年前後のサブカル界の一翼を担ったバンドです。

ピンポンで用いられている曲は、音楽性が変わるちょうど中間くらいの時期ですので、打ち込みを使用しているが明るい曲調ですね。
本作で用いられているのは「YUMEGIWA LAST BOY」「Free Your Soul」「STROBOLIGHTS」「Changes」「Baby Once More」の5曲。

ポップなエレクトロサウンドがスポーツ映画とマッチしているから、不思議です。
特徴のあるサウンドに耳に残るメロディのため、映画ピンポンといえばスーパーカーという人も少なくないはず。

実は筆者、スーパーカーの大ファンで自らコピーバンドを組んだこともあるのですが、これほど解散するまえにライブに行っておけば良かったと思うバンドにはほとんど巡り合っていませんね。
解散の時期がもう少し遅ければ、筆者もラストライブに行っていたことでしょう。

解散した今ではギターと作詞を担当していた”いしわたり淳治”が有名ですかね。
「チャットモンチー」や「NICO Touches the Walls」などの音楽プロデュースを中心に広く活動を行っています。

余談ですが、アニメ「交響詩篇エウレカセブン」の挿入歌としてスーパーカーの「STORYWRITER」という曲が使用されています。浮遊感のある名曲ですのでそちらもオススメです。
是非スーパーカー、聞いてみてください

ピンポンの記事なのに長々と綴ってしまいました。
スーパーカーに関しては今後別でしっかりと記事を書くことを考えています。

↓スーパーカーのベストアルバム

最後に

”邦画ってつまらない”なんて言うひとにこそ、オススメの映画です。

観終わったあとは不思議とすっきりとした気持ちになります。

漫画、映画、アニメ、音楽と、ピンポンの世界に浸ってみてはいかかでしょうか。

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