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【アニメ(漫画)の感想】『プラネテス』 日本が誇る名作SF!例え宇宙でも、なぜ人は愛を求めるのか

公開日: : 最終更新日:2014/06/06 アニメ, 漫画 , ,

 

宇宙で生きる人々の「孤独」と「愛」
境界のない世界で人は何を思うのか?

 

プラネテス(1) (モーニングKC (735))

アニメと漫画のご紹介、第一作はプラネテス(ΠΛΑΝΗΤΕΣ・PLANETES)。

名言、名シーンの宝庫。筆者の本当に大好きな作品です

原作は漫画なんですが、アニメもオススメですので両方とも同時にご紹介致します。

(以下敬称略)

人間的でリアルなSF作品

宇宙で暮らすことが当たり前になった世界

今から少し未来、人類は資源を求めて宇宙開発を行っていた。月や宇宙ステーションには沢山の人間が暮らし、火星でさえも居住が可能であるほど技術は発達し、多くの人が宇宙で仕事をして宇宙で生活をしている。

主人公たちも宇宙で働く人間の一員。仕事は、スペースデブリと呼ばれる宇宙空間を漂うゴミの回収作業。

宇宙の掃除屋、”デブリ屋”として宇宙で暮らす彼らの生活が、それぞれの生きる目的を主題として描かれる。

星雲賞のダブル受賞

「プラネテス」は原作である幸村誠による漫画作品と、NHKで放送された谷口悟朗監督のアニメーションがあります。

漫画版では全4巻で、生きるとは何かということに対して真正面から取り組んでいます。
孤独を糧にして生きる主人公”ハチマキ”に愛の大切さを説く”タナベ”。独特の雰囲気と無駄のない展開。心に響くセリフの数々。
ともすれば説明が長くなってしまうような重いテーマを扱っているにもかかわらず、必要なところだけを掻い摘んでエピソードが構成されていているためしつこさがなく、不思議な透明感と深みのある漫画です。
後半はだんだんと哲学的な要素を内包していきます。
プラネテス全4巻 完結セット (モーニングKC)

アニメ版は全26話で、登場人物やエピソードを大幅に増やしており、原作を改変して成功した稀有な例と言えるでしょう。ハチマキ達はとある会社のデブリ課で会社員として働いており、サラリーマン色が強くなっています。原作特有のエッジの効いたストレートな表現は少し弱まっているものの、ひとりひとりのエピソードがより丁寧に描かれていて、一般向けのわかりやすい脚本になっています。
漫画で伝えようとしていた人間的なテーマは、アニメでも踏襲されており、さらに宇宙で生きる人間の労働問題、社会問題についても言及していきます。
プラネテス コンプリート DVD-BOX (全26話, 650分) モーニング 幸村誠

漫画とアニメとではそれぞれ異なる部分がありますが、どちらも質の高い作品です

SF界の名誉ある賞、「星雲賞」を原作漫画、アニメの両方でダブル受賞した数少ない作品の一つ。当時、漫画とアニメのダブル受賞は「風の谷のナウシカ」以来の快挙だったそうです。

宇宙で浮き彫りになる人間の本質

人間がいかに孤独を感じやすく、愛を求めてるか。

人々は、様々な問題に直面し、葛藤して、もがいて、自分と世界を見つめ直します。

宇宙という死と隣り合わせで孤独な空間で、それぞれが出す答えは

愛とは何か?

本作ヒロインである、新人デブリ屋の田名部愛(タナベ)。彼女は事あるごとに本気で愛を説きます。
「愛がなければ人は生きられない」「愛があれば世界だって平和になる」「すべての命は尊く愛すべきもの」と。
周りからどんなに揶揄されようとも、アニメ版ではそれはもうしつこいくらいに。

「愛」と言っても種類があるでしょう。誰かを本気で愛する「愛」、皆を等しく愛する「博愛」、果ては自分を愛する「自己愛」。

タナベの言う「愛」は、漫画版では一貫して博愛の意味合いが強く、アニメ版では物語が進むにつれて博愛をベースにして誰かを愛する愛と意味が重なっていきます。そしていつしか、自らの愛で誰かを救って、誰かに愛されていると自惚れて、自己満足していただけだと気づかされます。

初めは陳腐に聞こえる、彼女の「口先だけの愛」は、いろんな人を出会って様々な経験を重ねるうちに次第に洗練され、「中身のある愛」に変わっていきます。

決して完成された真理ではないかもしれない、彼女の見つけた「愛」とは?

その答えはみなさん自身の目で確認してください。

「一人で生きて……一人で死んで……なんで満足できるんですか? 宇宙は独りっきりじゃ広すぎるのに」

孤独を糧に夢を追う

本作主人公である、半分は惰性でデブリ屋として働く星野八郎太(ハチマキ)。「一人で生きて一人で死ぬことが完成された宇宙船員」を信条とし、愛を第一に考えるタナベとは何かにつけて対立してしまいます。いつか自分の宇宙船を持つという夢を持っており、夢を叶えるためなら甘えや妥協の一切を排除し、魂を売る覚悟で孤独に努力しなければならないと考え、その通りに行動しますが、孤独とプレッシャーにもいつしか限界が訪れます。

愛で彼を救おうとするタナベと、一人ですべてを克服しようとするハチマキ。突き放したり、縋ったりしながら、お互いに歩み寄っていきます。そしてハチマキは愛の力を知り……。

人が生きるために必要なこと、孤独を乗り越えた先に見つけたその答えは?

ハチマキが長い葛藤の末、宇宙のつながりを感じるシーンは必見です。

「最前線に立つ人間だけが!! 車を作ってヒコーキ作って宇宙船作って!!
そうやって未来を作ってきたんだろ!?
クソッタレな今日を生きていけるのは!明日に期待するからだろ!?
宇宙船員が命がけで宇宙へ出て今日の限界を超えてみせるからだろうが!」

多彩な登場人物

悩みながらも懸命に生きるのはタナベとハチマキだけではありません。

かつての事故で妻を亡くした過去にとらわれている同僚の “ユーリ”。
人生経験豊富で頼りになる女性船長の ”フィー”。
学生でありながら独学でロケット開発に情熱を注ぐハチマキの弟 “九太郎”。
地球に憧れる月面生まれ月面育ちのルナリアンの少女 “ノノ”。
宇宙船開発のためにはどんな犠牲を厭わない科学者 “ロックスミス”。
木星往還船のクルーにトップの成績で選ばれるほど優秀だが過激な手段で世界を変えようとする “ハキム”
発展途上国出身の優秀な管制官 “クレア” (アニメオリジナル)
他にもデブリ課の面々や、各エピソードで現れる人々

プラネテスに登場するすべての人物は、皆がそれぞれの信念を持っています
構成力と脚本力の高さから、各人が的確に配置されており、誰ひとりとして必要のない人間はいないため、各々にドラマがあり、それはもう名言の嵐です。

筆者のお気に入りはユーリ。彼のエピソードは本気で泣きました。
過去を乗り越えて少しくだけた話し方になるというのも、熱いものがこみ上げてきます。

   

プラネテスの力

こんなに真剣に人間の本質に迫ろうとする作品はなかなかありません。
初めてプラネテスという作品に触れてからもう10年も経ちますが、全く色褪せることなくいろんなセリフが心に残っています。

純粋にエンターテインメントとしてみても面白いし、教育的要素もあり、本当に素晴らしいです。

これを機に、是非、漫画とアニメの両方を試してみてはいかがでしょうか。

最後に、アニメのブルーレイボックス発売のプロモーションビデオの最後に流れる印象的なコピーライトをご紹介します。

「どうせ生きるなら、笑っていよう」

希望に満ちたコピーですよね。
筆者にとってこれは、人生の座右の銘です。

アニメのOPとED、挿入歌、サウンドトラックも名曲ぞろいです。

Dive in the sky / 酒井ミキオ
Angel Feather Voice / Hitomi
プラネテス サウンドトラック

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